宮前法律事務所ブログ

2015.02.09更新

 生活保護の方が亡くなって,施設などで通帳を預かっていたり,貸していた部屋に荷物があったりなど,相続財産があるとき,相続人が引き取ってくれないということもありがちです。
 相続人が引き取りをしてくれないときに,これを強制することはできません。保管について費用がかかるので,その費用分の損害賠償請求をすることになると通告するのも一つの方法でしょう。また,所有権放棄してもらうのもよい方法でしょう。相続放棄してもらうということも考えられますが,次回に述べる相続財産管理人を選任するという,時間も費用もかかることになるので,得策ではないと思います。
 これらの説得をしても引き取らないときは,裁判で債務名義をとって,強制執行を行うしかないでしょうね。
 こうした事態を防ぐには,物を預かったり,賃貸契約をするときに,予め生活保護の方に,亡くなった場合には所有権放棄する旨の念書をとっておくとよいと思われます。
 なお,時効により返さなくてもよいのではないかと考えられないでしょうか。たしかに,預かった場合の返還請求権(寄託契約などに基づく)は,10年の消滅時効(民法167条)にかかるでしょう。しかし,所有権による返還請求の場合は,占有の開始が他人の物とわかってるので,自主占有にならず,時効が開始しないため,時効取得(民法162条)できず所有権は相続人のままとなるため,いつまでも返還を求められる可能性があります。(つづく)

投稿者: 宮前法律事務所

2015.01.26更新

 生活保護受給者が亡くなって,複数の相続人がいる場合,預かっていたり,残されたりした相続財産を誰に引き渡せばいいのでしょうか。
 遺言があるときは,遺言執行者です。遺言で遺言執行者が指名されていないときや,指名されていた予定者が辞退したときは,家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらう必要があります。
 遺言がないときは,遺言執行者がいつまでも決まらないときは,どうすればよいでしょうか。
 この場合は,複数いる相続人の誰かに引き渡せばよいでしょう。ただし,トラブルに巻き込まれないためには,代表者を選任してもらってその方に渡すか,そうでなくとも引受人に未分割中は相続人の共有であって勝手に処分できないことを確認(できたら文書で)しておくとよいでしょう。(つづく)

投稿者: 宮前法律事務所

2015.01.21更新


 ①~④は,生活保護の方が相続人になった場合について考えてみましたが,ここからは,生活保護の方が亡くなった場合の相続関係を考えてみたいと思います。ただし,話を複雑にしないために,寄与分や特別受益については考慮しないでおきます。

 生活保護の方であろうがなかろうが,亡くなった時に,まずチェックしなければいけないのが,遺言書があるかどうかです。
 そして,遺言書がある場合には,法定相続人の中で遺留分権利者がいるかどうかをチェックしなければいけません。遺留分権利者は,配偶者と子,子がいないときは親です(民法1028条)。親だけが法定相続人のときは,相続財産の3分の1,その他のときは,相続財産の2分の1が遺留分になります。兄弟には遺留分はありません。
 遺留分権利者がいるときは,遺留分権利者が被廃除者(民法892,893条)や欠格者(民法891条)でなければ,遺留分減殺請求の可能性があります(民法1031条)。減殺請求されると,遺留分を侵害している範囲で遺言は効力を失ってしまいます。ただし,遺留分減殺請求権は,相続開始および遺留分が侵害されていることを知ってから1年以内または相続開始から10年以内に行使しなければならないので,普通は,遺言書を法定相続人らが知れば,1年で確定します。
 もちろん遺留分権利者が被廃除者や欠格者なら,遺留分を主張できませんので,遺言書通りとなります。
 もっとも,生活保護の方は,財産を持たない方がほとんどでしょうから,遺言をするということも,財産的な面では意味が小さく,あまりないことです。こうした遺言書がない場合は,法定相続人がいれば,法定相続分に応じて相続が生じます。
 法定相続人がいないとか,全員が相続放棄してしまった場合は,財産があるのであれば,原則として相続財産管理人を選任することになります(952条)。(つづく)
 

投稿者: 宮前法律事務所

2015.01.06更新

 明けましておめでとうござます。
 皆様は正月をいかがお過ごしでしたでしょうか。名古屋は元日より雪も舞って,私はほぼ引きこもりの正月でした。
 昨年末は忙しく,ブログの更新もままなりませんでした。今年は,こまめに更新していきたいと思っています。
 何はともあれ,本年も宮前法律事務所をよろしくお願いいたします。

投稿者: 宮前法律事務所

2014.12.11更新

 このように生活保護受給者の方でも相続ができます。
 ただし,相続により遺産が入ってきて生活保護の要件をみたさないようになれば,当然生活保護は中止あるいは停止となります。
 また,気をつけなければいけないのは,相続の効果は相続開始つまり被相続人が亡くなった時点にさかのぼることです。つまり,その時点で財産があったことになりますので,その分,その時点から受給していた保護費の全部または一部については,もらいすぎていたことになり,返還(生活保護法63条)しなければならなくなることです。
 長期間遺産分割で争ってものちのち手元に残らないということはありえます。気をつけましょう。(つづく)

投稿者: 宮前法律事務所

2014.12.07更新

 遺言がなくて,生活保護を受給している方だけが相続人の場合は,相続するかどうかだけが問題になるだけです。
 しかし,他にも相続人となる方がいる場合は,何をどう分けるかという問題がでてきます。
 まずは,相続人の間で遺産分割協議をすることになります(民法907条1項)。協議ができないときやまとまらないときは,家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて,裁判所に間に入ってもらって協議をすることになります。しかし,それでも決着しないときは,家庭裁判所に審判という形で判断をしてもらいます(民法907条2項)。
 調停ですと,当事者が合意さえすれば比較的自由に遺産を分けることができますが,審判となるとそうはいきません。現金や貯金のように単純に分けられるものならいいのですが,不動産のように分割できないものには,持ち分がつくだけになってしまって,自分の自由にしようと思うと後で共有物分割の手続き(最終的には裁判で決着)をとらなければなりません。費用の時間もかかることになります。
 また,遺産の範囲そのものに争いがあるような場合は,一般の訴訟で範囲を確定してから,家庭裁判に判断してもらう必要もでてきます。
 さらに,債務も相続することになるのですが,かりに相続人間で誰かが単独で債務を負担するとしても,対外的には,相続分で相続したことになりますから,債務を負担するといった方が債務を履行しないと,後で請求されることが生じます。したがって,注意が必要です。
 このように問題が生じがちですから,遺産分割をするときは,早めに法律相談などを受け,できるだけ調停で決着するようにするのが得策でしょう。(つづく)

投稿者: 宮前法律事務所

2014.11.30更新

 さて,生活保護受給者の方が相続人の場合について考えてみます。
 相続の場合,まず確認しなければならないのが,遺言があるかどうかです。そして,遺言がある場合,どういう遺言なのかを確認します。普通目にする遺言としては,被相続人が自分で作成した自筆証書遺言(民法968条)か公証人役場で作成した公正証書遺言(民法969条)のどちらかでしょう。
 公正証書遺言の場合は,公証人というプロが作成をしているため,問題は少ないのですが,自筆証書遺言の場合は,注意が必要です。そもそも自筆証書遺言の場合は,遺言を発見したら,家庭裁判所に検認という手続きをとらなければなりません(民法1004条1項)。遺言が封をされているときは,開封せずに裁判所の手続きを待ちます(同2項)。また,遺言は,要式行為と呼ばれ,全部自筆である必要があること,年月日の記載,署名押印があることなど,厳格な要件が定められており(民法968条),これに反すると無効となりますので,その確認も必要です。
 さて,遺言が有効に存在するとなると,遺言にしたがって生活保護の方が相続するかを確認することになります。遺言上,生活保護の方にまったく相続する分がないとしても,生活保護の方が被相続人の配偶者や子,親であるときは,一定の割合を確保できる権利である遺留分があります(民法1028条)ので,普通生活保護は世帯ごとに受給され実際には例は少ないかもしれませんが,注意が必要です。ただし,遺留分権は,相続を知ってから1年以内に行使しないと,時効となってしまいます(民法1024条)。(つづく)

投稿者: 宮前法律事務所

2014.11.20更新

 生活保護の方の相続について相談を受けることがあります。そこで,何回かに分けて少しコメントしてみたいと思います。

 さて,まずは相続の基礎的な知識です。
 相続は,人が死亡することで開始します(民法882条)。死亡した人を,相続される人ということで,被相続人といいます。相続する人が相続人ですね。
 相続人は,法律上被相続人の配偶者と血縁者がなります(民法887条1項,889条1項,890条)。配偶者というのは,妻や夫のことです。内縁関係ではだめで,戸籍上の夫婦でなければなりません。血縁者というのは,子,子がいなければ親,子も親もいなければ兄弟姉妹の順で相続人になります。
 気をつけなければいけないのは,子が亡くなっていてもその子(つまり被相続人からしたら孫)がいればその子が,兄弟姉妹が亡くなっていてもその子(被相続人からしたら甥や姪)がいればその子が相続人になります。これを代襲相続といいます(民法887条2,3項,889条2項)。
 一方,法律上相続人であっても,被相続人や他の相続人を殺したり,無理やり遺言をさせたりといった,遺言書を偽造したり隠したりといったことをすると,欠格事由となって,相続人となることができなくなります(民法891条)。また,被相続人に虐待をしていたり,ひどい侮辱をしたり,著しい非行行為があった者は,被相続人の家庭裁判所への申立や遺言によって相続人から廃除されてしまうこともあります(民法892条,893条)。
 それ以外にも,相続人が自ら相続を放棄することもでき,その場合は最初から相続人でなかったことになります(民法938条以下)。                                                                      (つづく)

投稿者: 宮前法律事務所

2014.11.09更新

 フィギアスケートグランプリシリーズ中国大会での羽生選手の事故をテレビでみていました。
 「滑らない方がいい。」と何度も口に出しながら,見ていました。しかし,羽生選手は,顔面蒼白ながらも眼だけは爛々とした,鬼気迫る形相でリンクに再登場しました。
 そして,滑りきり,キスアンドクライで得点が発表されると,涙にを流していました。羽生選手があの細身の体に,ものすごく重いものを賭けていることを改めて見せつけられた思いです。
 今後の健闘を祈りたいと思います。

投稿者: 宮前法律事務所

2014.10.29更新

 芸術の秋です。昨晩,名古屋駅前のウインクあいち大ホールで上演されたフィリップ・ジャンティの「忘れな草」という舞台を見ました。
 作品は,舞台全体に動きがあって,人形劇,マジック,ダンス,バレエ,ミュージカル,パントマイム・・・いろんな要素が合わさった不思議な世界でした。ストーリーを考え出すと難しくて,見たまま感じるまま楽しむことにしました。
 後でネットでストーリーを確認しましたが,まったくとんちんかんなストーリー描いていたので,自分の感性はずいぶんいいかげんだと改めて認識させられました。
 それでも,久しぶりの芸術鑑賞に心は満喫した夜でした。

投稿者: 宮前法律事務所

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